時価総額でトヨタを抜いたテスラに関するまとめ

時価総額でトヨタを抜いたテスラに関するまとめ

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今回は2020年7月1日に時価総額が22兆円を超え、自動車メーカーとして世界一位となった「テスラ」についてまとめてみたいと思います。

ポイント

テスラの時価総額がトヨタを抜き自動車メーカーで一位になった理由は3つ考えられます。

  1. マクロ要因:世界の投資マネーが株式市場に流れ込んでいることによる相場の過熱によって、株価の上昇が上昇気流に乗っているから
  2. 個別要因:自動車業界の「ゲームチェンジ」が起きた後の世界でテスラの存在感は今以上に大きくなっているだろうと評価されているから
  3. 個別要因:テスラはIT企業を測る”モノサシ”で評価されるから

テスラが時価総額でトヨタを抜いたという事実から得られる示唆として、現在まざに”強い自動車メーカー”の定義が変化しつつあるのだと捉え、テスラから学び、将来に向けた種まきを行っていくべきだと言えるのではないでしょうか。

テスラとは

テスラは言わずと知れた世界最大級のEVメーカーです。米国シリコンバレーに拠点を構え、EVだけでなくソーラーパネルや蓄電池の開発・製造・販売を行っています。

CEOであるイーロン・マスク氏はカリスマ的な経営者と言われ、2002年には「スペースX」を立ち上げ、惑星間宇宙旅行の実現と、火星に人類が居住できるよう火星をテラフォーミングするという、非常にスケールの大きいテーマに取り組んでいます。

  • 社名:テスラ(英: Tesla, Inc.)
  • 本社所在地:米国カリフォルニア州パロアルト(シリコンバレー)
  • 設立:2003年7月1日
  • 代表者:イーロン・マスク(CEO)
  • 売上高:214億6100万ドル(2018年)
  • 従業員数:45,000人(2018年)
  • 主要株主:イーロン・マスク(21.9%)

時価総額が世界一位となるまでの時系列整理

テスラの時価総額が自動車メーカーの中で一位になりましたが、そこにたどり着くまでの軌跡を整理してみます。

年月日株価(終値)詳細
2010年6月29日23.89ドル
(約2,600円)
テスラがナスダック市場に上場。
終値は公開価格の17ドルを41%上回る23.89ドルをつけ、
時価総額は17.7億ドル(約1580億円)となる。
2013年5月13日87.80ドル
(約8000円)
時価総額が10億ドルを超え、10.81億ドル(約1兆1500億円)となる。
2020年1月8日492.14ドル
(約5万3000円)
時価総額が約890億ドル(約9兆5000億円)に達し、
同日のGM(約500億ドル)およびフォード(約370億ドル)の
合計(約870億ドル)を上回る。
2020年1月22日569.56ドル
(約6万3000円)
時価総額が1000億ドル(約11兆円)を超え、
同日約997億ドルだったVW(フォルクスワーゲン)の時価総額も超え、
自動車メーカーとしてはトヨタに次ぐ世界2位に浮上。
2020年7月1日1119.63ドル
(約12万円)
時価総額が2076億ドル(約22.3兆円)に達し、
同日21.7兆円のトヨタを抜き自動車メーカーとして世界1位に浮上。
2020年7月7日1429.50ドル
(約15万3000円)
時価総額が一時2650億ドル(約28兆5000億円)に達し、
同日の終値ベースでトヨタとホンダの合計(約27兆1000億円)を上回る。
2020年7月13日1497.06ドル
(約16万円)
時価総額が一時3329億ドル(約35兆7000億円)に達し、
同日の終値ベースで東証に上場する全自動車メーカー9社の
合計(約34兆5000億円)を上回る。
2020年7月15日1546.01ドル
(約16万5000円)
時価総額が約3438億ドル(約36兆8000億円)に達し、
7月1日にトヨタの時価総額を超えてからも続伸を続ける。

参考:テスラの株価チャート(下部のリンク「TSLAチャート」より拡大表示可能です)

なぜ時価総額が世界一位になったのか

それでは今回のメインテーマに入っていきたいと思います。まず、なぜテスラの時価総額が世界一位になったのか、その考えられる要因を考えていきたいと思います。

【マクロ要因】投資マネーが株式市場に集中しており相場が過熱しているから

テスラは2010年6月29日にナスダック市場に上場(NASDAQ: TSLA)し、約24ドルの初値を付けました。そして設立からちょうど10年後にあたる2020年7月1日に1119ドルの終値を付け、時価総額も2076億ドル(約22兆3000億円)に達し、同日21.7兆円だったトヨタを抜いて自動車メーカーとして世界一位となりました。

テスラの時価総額が自動車メーカーNo.1になった理由として挙がっているのは、新型コロナウィルスに対応した各国の財政ファイナンスなどにより世界の投資マネーが株式市場に集中しており相場が過熱しているからだ、「テスラの株高はテクニカルによるものなので株を持っている人は売り抜けるタイミングを逸しない方が良い」などといった”ネガティブ”なものが多い印象ですが、こうした表面的なことだけでこの事実を済ませるのはナンセンスかもしれません。

理由は単純で、確かに現在の株式相場の過熱感は否めないですが、株価は将来の価格を織り込んで現在の価格をつけるものだからです。

すなわちテスラ株を買う投資家は「テスラの年間販売台数は36万7500台で、1074万台を販売するトヨタのわずか3%程度」、「テスラは年間約1000億円の赤字だが、トヨタは年間約2兆円の黒字」といったことは承知の上でテスラに投資をしているはずであり、一時的に投資マネーが株式市場に集中しているとはいえ、単純にそれだけでテスラの株高を説明するのは乱暴だと言えるでしょう。

【個別要因】投資家は中長期視点で、自動車業界の「ゲームチェンジ」が起きると読んでいるから

先ほど挙げたのはマクロ的な要因ですが、テスラ固有の要因(いわゆるファンダメンタル)も見ていきたいと思います。

一つは中長期視点で見た際に、自動車業界の「ゲームチェンジ」が起き、その”主役”がテスラになる可能性があると読んでいる投資家が一定数いることの表れだと考えられます。

例えばテスラが販売するEV(電気自動車)は自動車業界における今後の”主戦場”になると言われていますが、そうなると従来の自動車メーカーにとっては販売台数が減少していくICE(内燃機関車)を開発する従業員やその製造設備が過去の遺産として重しになってしまいます。一方のテスラはEVを専業としているのでそういったものがなく、EVを売れば売るほど利益が積み上がっていくことになり、そういった面では有利だと言えるでしょう。

自動運転をはじめとする「CASE」の分野でもテスラはトップランナーであると言われており、自動車の変革をリードしていく技術分野に強いことはアドバンテージとして今後も働いていくことでしょう。

また、従来の発想にとらわれず新しいことを強烈なリーダーシップとカリスマ性で実現していくイーロン・マスクCEOの経営手法は、昔のビジネスを引きずっている面が否定できない従来の自動車メーカーと比較すると、株式市場からの期待も高まりやすい傾向があるのは必然的だと言えるのではないでしょうか。

【個別要因】テスラは自動車メーカーを測る”モノサシ”ではなく、IT企業を測る”モノサシ”で評価されるから

もう一つテスラの個別要因で大きいものとして、評価の”モノサシ”が他の自動車メーカーと異なっていることが挙げられるのではないかと思います。自動車アナリストの中西さんも以下のように分析されています。

テスラのバリエーション・企業価値の評価の尺度は、すでに“IT企業”。
アマゾンとかグーグルとか、こういった企業の手法に近づいている。

競争力が、ある一点から指数関数的に伸びていく。そういう尺度で株価がついている。

すなわちテスラの株価は、株価の伸びが比較的穏やかな「製造業」と投資家から見られる自動車メーカーとは異なり、市場からの評価が高まると株価が急激に伸びる「IT(情報通信業)」の会社だと投資家から見られていると考えられるため、株価も上昇局面では勢いがつきやすく天井も高くなっているのではないでしょうか。

まとめ:テスラの事例から何を学ぶべきか

冒頭にも書いたとおり、テスラの時価総額がトヨタを抜いて自動車メーカーNo.1になったことを「相場が加熱しているだけに過ぎない」、「実力を伴っていないのでいずれすぐに下げるだろう」とネガティブに捉えて見過ごすのはナンセンスだと思われます。

「コロナ前とコロナ後では世界が変わる」とよく言われますが、自動車業界においてもそれは同様です。従来の”強い自動車メーカー”の定義が大きく変化し、十年後の時価総額ランキングの顔ぶれが変わっていても何ら不思議ではありません。

そのため自動車業界に属する各プレーヤーは、旧来の”強い自動車メーカー”を測る尺度だけにとらわれず、こうしたテスラのような新しい潮流から学び、将来に向けた種まきを行っていくことが重要だといえるでしょう。

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