【論文紹介】「MaaSの現状と今後のサービス開発の展望」

【論文紹介】「MaaSの現状と今後のサービス開発の展望」

「MaaS界隈で今、何が起きているのか?」

そんな疑問の解決に役立つ情報を、『MaaS Now(マースナウ)』は発信しています。

今回はMaaSの”現在”と”将来”を考える上で参考になる論文、「MaaSの現状と今後のサービス開発の展望」について紹介したいと思います。

ポイント

  1. MaaSは「幅広い種類の交通サービスを一つのサービスとして統合し、ユーザーが必要なときに自由にアクセスし選択できるようにするもの」
  2. 多様なMaaSの発展にはそのデータ・アプリケーションの基盤となるプラットフォームの共通化が有効
  3. MaaSサービスの設計においては地域・状況に応じた様々な観点からの検討が有用であり、移動そのものの価値についての検討も重要

著者

論文の内容に入る前に、著者について少し紹介します。

この論文はMaaS Tech Japan社の日高氏(CEO)、岡部氏(COO)、長島氏の3名による共著です。MaaS Tech Japanとはその名の通りMaaSを手掛けるスタートアップ企業で、主に「メディア事業」、「コンサルティング事業」、「プラットフォーム開発事業」の3事業を手掛けています。企業概要は以下のとおりです。

  • 会社名:株式会社MaaS Tech Japan
  • 代表:日高 洋祐
  • 設立年:2018年11月
  • 従業員数:13名(2020年5月時点)
  • 出資企業:グロービス・キャピタル・パートナーズ

<MaaS Tech Japan公式ホームページトップ画>

出所:MaaS Tech Japan

要約

それではこの論文の概要について紹介していきたいと思います。

論文は大きく「背景」、「現状把握」、「サービスとしてのMaaS」の3部構成でまとめられ、最後にまとめの章で締めくくられる構成となっています。

では早速各章について、書かれている内容をかいつまんで紹介していきたいと思います。

背景

モビリティを取り巻く環境について触れ、欧州MaaS AllianceがMaaSを「幅広い種類の交通サービスを一つのサービスとして統合し、ユーザーが必要なときに自由にアクセスし選択できるようにするもの」と定義していることや、その社会実装事例としてMaaS発祥の地であるフィンランドの「Whim」を取り上げて説明。日本においても国交省の「新モビリティサービス推進事業」と経産省の新モビリティサービスの社会実装に関する取り組みを取り上げています。

現状把握

日本におけるMaaSのサービス展開のあり方について考える前提として、MaaSの先進事例である「Whim」について解説しています。フィンランド政府が「2025年までに自家用車を所有する必要がない街にする」と掲げた構想に対応する形でMaaS Global社が「Whim」を開発し、(1)モビリティの案内・予約・決済を一つのプラットフォームに統合したことと、(2)それをサブスクリプションモデル(定額サービス)で提供したことが特徴だったとし、実際に「Whim」利用者のデータを集計すると自家用車の利用率が20%減少、公共交通の利用が26%増加したという”利用者の行動変化”について紹介しています。

サービスとしてみたときのMaaS

前の章で「Whim」の先進事例を取り上げていますが、MaaSサービスの在り方は多種多様であり、地域に応じて様々な観点からそのサービスの内容を考える必要があるという、MaaSの本質とも言えるべきテーマについてこの章では取り上げています。具体的にはMaaSを実装するエリアによって社会課題や事業特性、交通分担率などの前提条件が異なるため、「Whim」の事例をそのまま真似るのではなく、国や都市、エリア、交通状況などに応じて適切な目的設定やサービス設計を行う必要があるとしています。

そこでMaaSを展開するにあたって重要になってくるプラットフォームについても言及しています。MaaSとそのプラットフォームは大きく以下の3レイヤーで構成されるとしています。

  1. 【データ層】交通事業者APIと接続を行うデータ接続レイヤー
  2. 【アプリケーション層】ユーザー向けサービス(アプリケーション)レイヤー
  3. 【プラットフォーム層】データ/アプリケーション相互連携のための共通基盤となるプラットフォームレイヤー

また「移動」そのものも、「(1) 機能的移動」「(2) 体験的移動」に分類することができるとし、後者の体験的移動は更に「(2-1) 着地点に価値を感じるもの」と、「(2-2) 移動そのものに価値を感じるもの」の2つに分けられるとし、例えば観光促進型MaaSであれば、後者の「(2) 体験的移動」の観点をサービス設計に組み込むことが重要であるとしています。

まとめ

今回取り上げた論文「MaaSの現状と今後のサービス開発の展望」は、MaaS誕生の背景から現状、そしてそのサービス設計・展開におけるポイントが分かりやすく解説された論文です。分量も多くありませんので、より詳しく知りたい方はぜひ原文を読まれることをお勧めします。

Twitter (@maas_now) でも日々MaaSの最新情報を発信中!ぜひフォローください!

レポートカテゴリの最新記事